母には歳の離れた2人の兄がいました。
母の思い出で、よく覚えているのは縁側に座る兄の姿。
幼い母を膝に乗せ、色々な話をしてくれたそうです。
絵を描く事が好きで
将来は絵描きや役者になりたいと考えていたという兄。
ですが父親から猛反対されて
結局、東京の大学へ行く事になりました。
不幸にも当時は戦時中。
大学生だった2人の兄は学徒出陣で戦地へと送られ、戦死しました。
戦死の連絡が届いた日、厳格な父親は堪えることなくオンオンと大声で泣いたそうです。
愛する2人の息子を立て続けに失い、心労から父親は病を患い、程なく亡くなりました。
そんな母の思い出話を聞いたのは、もう10年以上前。
当然、私はその3人と面識はありません。
でも夢叶わずに遠い地で戦死した叔父たち
その2人の後を追うかのように亡くなった祖父の事を
時折、思いながら仕事をしています。
絵を描きながら、2人の叔父や祖父が見守ってくれているんじゃないか。
もしかしたら、ちょっとばかり叔父の力添えがあったんじゃないかなどと
都合よく考えて、妙にやる気がわいてくる事もあります。
今日は終戦記念日。
いつもより多く、叔父や祖父の事を考えながら仕事をしています。
「叔父さん、忙しい時には代わりに原画描いてくれてもイイわよ。」 と無意味なおねだり。
コメントをお書きください